[Japanese] Episode 24 Draft [VERSION 1]

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新世紀エヴァンゲリオン 第24話「最後のシ者」(第1稿)

○(F・I)ネルフ本部・ケイジ

一角に、全長5mほどの人型兵器が冷却液に侵かっている。
ボディーには『αーTYPEーEVA000』のマーキング。
その前のアンビリカル・ブリッジに立つ碇ゲンドウと冬月コウゾウ。

碇: 「エヴァの新たな試作品、αーエヴァだ」
冬月: 「小型化したエヴァンゲリオンか。今になって、何故このようなものが必要なんだ」
碇: 「人類補完計画のために作られたものだ。これはそのテストタイプさ」
冬月: 「現場への根回しも少しは必要ではなかったのか。零号機復旧作業の凍結についても疑問に思っている人間も多い。赤木博士は独自のルートでエヴァのパイロットを探しているぞ」
碇: 「彼女にはもう少し、頑張ってもらう。E計画は終わっていない。ゼーレのシナリオでは、まだ最後の使徒が残っている」

「 最 後 の シ 者 」
○ネルフ本部・テストプラグ実験場・制御室

グラフの数値を見つめているミサトと伊吹。

ミサト: 「——どう? 」
伊吹: 「駄目ですね。二人とも過去最低の数値です」

テストプラグのアスカ、レイがモニターに映っている。

ミサト: 「何か原因が考えられるの?」
伊吹: 「まだ明確な回答を得られませんが、二人のシンクロ率低下にはデーター的に相違がみられます。おそらくアスカは精神的要因、レイは肉体的要因によるものです」
ミサト: 「二人がこのままエヴァに乗るには無理があるわね。肝心のパイロットがこれではしょうがないわ。この数週間、リツコが代替パイロットのスカウトに奔走していたわけか」
伊吹: 「今度の適任者はマルドゥック機関の報告書に依らない、初めてのパイロットだそうですね。私、ちょっと心配なんです。今回のことに関しては、赤城博士の勇み足のような気がして仕方がないんです。お気づきになりません? 先輩は最近、焦ってるって」
ミサト: 「・・・・・・」
○第3新東京市郊外・駅前のロータリー(午後)

一台の車が止まっていて、リツコとシンジが列車の到着を待っている。
リツコ、くわえた煙草に火をつけようとするが、折からの風でうまくいかない。
シンジの掌が自然に伸び、風を避ける。

リツコ: 「ありがとう。(と煙草を吸い)シンジ君って、いつも誰かに気を使っているのね。家に帰っても気の休まる暇、ないんじゃない?」
シンジ: 「そんなことないですよ。それに、最近は3人が揃うこと、少ないですから。ミサトさんはずっと忙しいし、アスカはテストの居残りで、夜遅くまで帰らないし」
リツコ: 「家庭崩壊の種を蒔いているのは、どうやら私のようね」
シンジ: 「しょうがないですよ。仕事なんだから。ただ、ちょっと気になるんです。ミサトさんのお酒の量が増えたみたいで」
リツコ: 「——シンジ君は誰かに恋したこと、ある?」
シンジ: 「まだないですよ・・・・・・」
リツコ: 「ミサトの心の中では、加持君は身体の一部になっていたの。彼がいなくなってから、ミサトは初めてそれに気づいたのね。でも時に切ない気持ちがあふれ出して、どうしようもない事があるわ。そんな夜はチョッピリお酒の力を借りるわけ」

駅のホームに特別列車が滑り込んでくる。

シンジ: 「人を好きになれば、そうゆうことがわかるようになるんですか」
リツコ: 「わかる大人になることね。——さ。フィフスチルドレンのお出ましよ」

停車していた特別列車が発車する。
ホームに可愛らしい紺色の水兵服を着た一人の少年が残される。(渚カヲル)
陽炎の中に立つカヲル。
蜜色の豊かな髪が西日の逆光を受け、キラキラ輝いている。
その神々しい美しさに思わず見とれてしまうシンジ。
カヲルと視線が合うシンジ。どきっ、とする。
○ジオフロント・天井ビルのロビー

エヴァの3パイロットとカヲルとの対面が行われている。
カヲルの横にはミサトとリツコ。

リツコ: 「私達が選んだ5人目の適任者・渚カヲル君よ」
カヲル: 「渚カヲルです。よろしく」
アスカ: 「(目を輝かせ)私、アスカ。惣流・アスカ・ラングレー。よろしくねッ ❤」

と握手する。

リツコ: 「こっちがファースト・チルドレンの綾波レイ」
カヲル: 「よろしく」
レイ: 「(相変わらず無表情で)こちらこそ」

握手を交わした二人、ほんの一瞬、見つめ合う。
ミサトは暗く沈んだ様子のシンジを見ている。
○ネルフ本部・写真室

正面を向くカヲルに、パッとフラッシュの閃光。
○同・別室

プリンターからカヲルのIDカードが出てくる。

ミサト: 「(それを取り上げ)渚カヲル・・・なかなかの美形じゃない」
リツコ: 「可愛いだけじゃないわ。向こうでも成績優秀、スポーツ万能の神童で評判だったそうよ」
ミサト: 「シンジ君が彼にコンプレックスを持たなければいいのだけど。アイツ、すぐイジけちゃうから。今日もちょっとそんな感じあったし」
リツコ: 「(ミサトを横目で見て)過保護ね・・・・・・」
○中央病院・全景
ケンスケの声:「ちわーッす」
トウジの声: 「おう、ケンスケやないか。見舞いに来てくれたんか」
○同・病室
ベッドの上のトウジと、見舞いに来たケンスケ。
ケンスケ: 「受付で聞いたけど、明日にも退院だって?」
トウジ: 「ああ。来週から行けると思うわ」
ケンスケ: 「治ったら、またエヴァに乗るのか?」
トウジ: 「いや、勘弁してもらうことにした。大して引き留められへんかったところを見ると、あんまし期待されてへんかったみたいやな。わははは。(と寂しげに笑う)」
ケンスケ: 「そうか・・・・・・」
トウジ: 「ところで、学校の方はどないや」
ケンスケ: 「ま、相変わらずと言えば相変わらずだな。そういや最近、転校生が来たよ」
○ケンスケのビデオ録画
学校の教室で、黒板に自分の名前を書いているカヲル。
ケンスケの声: 「名前は渚カヲル。こうゆうのを美少年って言うんだろうな」
トウジの声: 「ワシには負けるけどな」
書き終わり、正面を向くカヲル。
ケンスケの声: 「見てみろよ。女たちのリアクション」
色めき立つ女子たちの様子。
トウジの声: 「メスどもが、色づきよって」
休み時間。中庭で女の子たちと談笑しているカヲル。

ケンスケの声: 「転校して来た早々、ファンクラブが結成される始末さ。校内の女子全員が入会したんじゃないのかな。ごく一部を除いてね」
我関せず、頬杖をついているレイ。

トウジの声: 「ま、コイツはこうやろ」
パンすると、しょんぼりした様子のアスカ。

トウジの声: 「惣流、元気ないやないか。一番騒ぎそうな奴なのに」
ケンスケの声: 「朝にはみんなの先頭になって騒いでいたけど、今、転校して来るってことは、エヴァのパイロットになるってことだろ。惣流にとってはライバルの出現ってわけだよ。アイツ、最近、弐号機とのシンクロ、うまく行ってないようだから」
アスカ、フォーカスされているのに気づき、カメラに物を投げつける。
以下、サンドノイズ。

○もとの病室
携帯ビデオのモニターを収めるケンスケ。
ケンスケ: 「今度の転校生、早3日でクラスの貴公子と言ったところさ」
トウジ: 「貴公子や何や知らんけど、いけすかんやっちゃな」
ケンスケ: 「鈴原は新入りが来るときまってそうだな。だいたい転校生ってのはいけすかないもんなんだよ。シンジの時もそうだったじゃないか」
トウジ: 「シンジの奴はどないしてんねん」
○第壱中学校・2-A教室(放課後)
シンジ、席に座り、机の上の両腕に顔を伏せている。
シンジの他には誰もいない。
どこからかピアノの音が聞こえてくる。
カバンを取りに来たヒカリが入って来る。

ヒカリ: 「あれ。碇君、いたの」
シンジ: 「(顔を上げ)うん・・・・・・」
ヒカリ: 「相田君と一緒に鈴原のお見舞いに行ったんだと思ってた」
シンジ: 「ちょっと・・・・・・ね」
ヒカリ: 「(ピアノの音色に気づき)渚君が弾いているんだ。彼、上手ね。———じゃ、お先に」
シンジ: 「さよなら」

再び一人のシンジ、もの憂げな様子でピアノの音色を聴いている。

○シンジの記憶——駅
視線の合ったカヲル、フッとほほ笑む。
カヲル: 「よろしく」
シンジ: 「(吃ってしまい)こ、こちらこそ」
頬を染め、俯いてしまうシンジ。
○第壱中学校・音楽室
ピアノの鍵盤を叩いているカヲル。
○同・2-A教室
ピアノの曲が、何か不自然な終わり方をする。
シンジ: 「・・・・・・」
○同・音楽室
恐る恐るドアを開けるシンジ。
——中には誰もいない。
階段の方から去っていく足音が聞こえて来る。

○同・階段
駆け降りるシンジ。
だが足音には追いつかない。
その時、校内スピーカーからヴィヴァルディの『四季』・”冬”の弦楽のユニゾンが流れる。
アナウンス: 『下校の時刻になりました。学校に残っている生徒は、直ちに下校準備をしてください』
○同・校庭(夕方)
響き渡る下校放送。
次々に練習を終える運動部の生徒たち。 校舎から出て来たシンジ、見回すが、カヲルの姿はない。
用具を片付けていた運動部員たち、一斉に空を仰ぐ。
——雨だ
太陽が照っているにもかかわらず、大粒の雨が降り出す。
生徒たち、急いで校舎内に駆け込む。
黄金色の雨に包まれるシンジ。
○帰り道
お天気雨の中、一人、傘をさして帰るカヲル。
誰かが後ろから駆けて来て、追い抜いて行く。
それはずぶ濡れになったシンジである。
シンジ、カヲルに気づいて、立ち止まる。
カヲル、傘を少し持ち上げ、ニコッと笑う。

シンジ: 「——」
カヲル、もう一度、傘を持ち上げる。
シンジ、少しためらうが、カヲルの傘の下に入る。

カヲル: 「これからネルフに行くの?」
シンジ: 「うん・・・・・・」
カヲル: 「じゃ、一緒に行こう」
二人、歩きだす。
○レイの部屋
濡れた体を拭いていたレイ、ふと気づいて、窓の外を見やる。
第3新東京市に鮮やかな虹の橋が架かっている。

レイ: 「・・・・・・」

○ネルフ本部・第3試験場
アスカが入って来て、弐号機のタラップを上がろうとする。

アスカ: 「さてと、今日も私の弐号機はナイス・コンディションかな」
リツコの声: 『(アナウンス)ちょっと、まって。悪いけど、アスカは後にして』
アスカ: 「後って・・・・・・」
リツコの声: 『弐号機にはフィフスチルドレンが入るから』
上の踊り場にはプラグスーツを着たシンジとカヲルの姿が見える。
カヲル: 「僕、シンジ君に嫌われているのかと思っていた」
シンジ: 「どうして・・・・・・?」
カヲル: 「何だか、僕を避けてたみたいだから」
シンジ: 「そんなことないよ」
カヲル: 「ホントに?」
シンジ: 「ホントだよ・・・・・・」
シンジとカヲルのクスクス笑いが聞こえてくる。
アスカ: 「・・・・・・」
○同・制御室
モニターを見ているミサト、リツコ、伊吹。

リツコ: 「フィフスチルドレンの調子はどう?」
伊吹: 「高いシンクロ率を示しています。これはアスカの自己ベストをも遥かに凌いでいます」
ミサト: 「じゃあ、今のままでは代替パイロットは彼で決まりということ?」
リツコ: 「弐号機の起動試験の結果次第では、そうゆうことになるわね」

○第壱中学校・教室(翌日)
楽しげにおしゃべりしている様子のシンジとカヲル。
それを遠巻きに見ている数人の女子生徒たち。

女子生徒A: 「碇君たら、腰ぎんちゃくみたい。カヲル様に纏わりついちゃってさ」
女子生徒B: 「昨日も相合い傘で帰ってたわよ」
女子生徒C: 「(側にいたアスカに)ねえ、惣流。カヲル様と碇君、怪しくない?」
アスカ: 「だって、あの二人、デキてるんだもの」
女子生徒A: 「それって、あの二人が・・・・・・ってコト?」
女子生徒B: 「えーッ、信じられない」

撒いた噂が女子生徒たちのヒソヒソ話に乗って、伝えられていく。
アスカ、少し後悔した様子を見せるが、ペロッと舌を出し、しらんぷりする。
○同・廊下(放課後)
帰ろうとするシンジを呼び止めるケンスケ。
ケンスケ: 「シンジ」
シンジ: 「何?」
ケンスケ: 「うちでトウジの退院祝いのパーティやろうかと思ってるんだけど」
シンジ: 「ごめん。今日はちょっと、先約があるんだ・・・・・・」
ケンスケ: 「そうか、そりゃ残念」
シンジ: 「じゃ、また・・・・・・」
そそくさと去って行くシンジの後ろ姿を寂しげに見送るケンスケ。

○旧市街(小田原あたり)
15年前に水没した街並み。
海の中から突き出したビルの廃墟が林立している。
防波堤の上からそれを眺めているシンジとカヲル。

カヲル: 「『死の都』の舞台・ブリュージュのようだ。美しくて、寂しくて」
シンジ: 「何なの、それは」
カヲル: 「若くして死んだ奥さんを忘れられずに、死の都の家に閉じこもってしまったという男の物語だよ。男は部屋の一つを『ありし人の教会』と呼んで、思い出がつまった亡き妻の持ち物を大切に保管している。だが、妻と瓜二つの踊り子が現れ、心をかき乱された男は、生と死が別のものであることを悟り、最後は死の都から出て行く決心をするという話さ」
シンジ: 「ふうん・・・・・・」
カヲル: 「ねえ、泳がない?」
シンジ: 「泳ぐって、ここで?」
カヲル: 「うん」
シンジ: 「水着、持って着てないよ」
カヲル: 「裸で泳げばいいさ。他に誰もいないのだから」
シンジ: 「でも・・・・・・」
カヲル: 「何を恥ずかしがってるの。男同士だろ」
シンジ: 「そうだけど・・・・・・」
カヲル: 「行こうよ」

と水兵服を脱ぎながら、水辺へと進んでいく。
シンジも後について行きながら、服のボタンを外す。

○海
ビルの谷間の浅瀬を、一糸纏わぬ姿で入っていくカヲル。
少し遅れてシンジ。
水面のきらめきの中にカヲルのなよやかな肢体が浮かび上がる。
その姿に思わず見とれてしまうシンジ。
カヲルはどんどん沖へと進んでいくが、シンジはついて行けずに、立ち止まってしまう。

カヲル: 「(振り返り)こっちへおいでよ」
シンジ: 「ここから先はダメだよ・・・・・・。僕、泳げないんだ・・・・・・」
カヲル: 「大丈夫。僕につかまればいい」
カヲルに吸い寄せられるようにして、シンジは深みへと入る。
だが、カヲルは手を引っ込めてしまい、シンジは溺れそうになる。
シンジを抱き寄せるカヲル。
しがみつくシンジ。
カヲル: 「ははは、本当に泳げないんだね」
シンジ: 「意地悪。信じていたのに・・・・・・」
不意に涙を流すと、シンジはカヲルの肩に顔を埋め、訳もなく嗚咽する。

○ビルの廃墟・一室(日没後)
水平線に消えた夕日が、空を緑色に染めている。
服を着ながら、それを眺めているシンジとカヲル。

カヲル: 「すごい・・・・・・緑色の夕焼けだ」
シンジ: 「きれいだね」
シンジ、水兵服の腕のボタンをはめるカヲルの手首に幾筋もの傷が入っているのに気づく。
カヲル: 「ねえ、さっきは、何で泣いたりしたの? 海が怖かったの?」
シンジ: 「わからない・・・・・・。僕、自分で自分がわからないんだ。あの海に沈んで、死んでしまいたいって思った」
カヲル: 「どうして・・・・・・?」
シンジ: 「確かに僕は君を避けていた。カヲル君に比べると、僕なんてみじめでつまらない人間なんだろう・・・・・・君のそばにいると気が狂ってしまいそうで、そのくせ姿が見えないときには・・・・・・不安で不安で・・・・・・。そうゆういじましい自分と一生つきあっていかなきゃならないと思うと・・・・・・僕はもう、死んでしまいたい・・・・・・」
空はすっかり翳り、二人の姿は完全なシルエットになる。
シンジ: 「もう、顔も見えなくなっちゃった・・・・・・。カヲル君、僕は君のことが・・・・・・」
カヲル: 「(遮り)ごめん・・・・・・そうゆうのイヤなんだ」
シンジ: 「——」
カヲル: 「別々に帰ろ。これ以上、傷つけたくないから」
一人,去って行くカヲル。
シンジ、絶望の淵に立たされる。

○ネルフ本部・中央作戦司令室・発令所
入ってくるミサト、リツコ。

ミサト: 「何があったの?」
青葉: 「不審者が大深度地下施設に侵入。セントラルドクマに向かっています」
日向: 「IDのデータが入りました。赤木博士のものが使われています」
リツコ: 「何ですって!?」
ミサト: 「まさか・・・・・・」
青葉: 「Pブロックの監視カメラが目標の可視映像をとらえます」
主スクリーンが大深度地下施設の画像を映す。
歩いているのはカヲルである。
リツコ: 「(マイクに)どうしてそこにいるの。あなたはそこに入って行けないはずでしょ」
画面のカヲル、少し困ったような顔をする。
カヲル: 『ごめんなさい・・・・・・』
といった瞬間、パッと画面にノイズが走る。
伊吹: 「大深度地下施設にATフィールド確認!」
ミサト: 「使徒!」
リツコ: 「そんな馬鹿な!」
○同・大深度地下施設の一角
目も眩まんばかりの光に包まれているカヲル。
それが収束すると,彼はコアを持った使徒に変容している。

カヲル: 「これが僕の・・・・・・本当の姿・・・・・・?」
その時、突然、カヲルに向かって殺人レーザーが照射される。
だが、ATフィールドがそれを跳ね返してしまう。
○同・発令所
ミサ: 「使徒に対して、通常兵器は何の役にも立たないわ」
リツコ: 「弐号機のパーソナルデータを至急、アスカに書き換えて!」
伊吹: 「はい!」
○同・大深度地下施設の一角
セントラルドグマへ進んでいくカヲル。
ATフィールド防御壁を突き破って行く。
○同・第3ケイジ
弐号機にエントリープラグが挿入されていく。
○弐号機・エントリープラグ
アスカ: 「だーから、言わないこっちゃないんだから」
○ネルフ本部・第3ケイジ
起動準備に入る弐号機。
伊吹の声: 『主電源接続完了。起動用システム作業開始』
オペAの声: 『稼動電圧まであと0.5、0.2・・・突破』
オペBの声: 『起動システム、第2段階へ移行』

○弐号機・エントリープラグ
レバーを持って、起動に備えているアスカ。

オペCの声: 『パイロット、接合に入ります』
オペAの声: 『シナプス挿入、結合開始』
プラグの内壁が様々に変容していくが、その画像が乱れる。
アスカ: 「——!?」
オペBの声: 『パルスが乱れています!』

○ネルフ本部・第3ケイジ
弐号機の起動音が急速に落ちていく。

○同・発令所

伊吹: 「パイロットのハーモニクスが許容値にまで達してません!」
ミサト: 「・・・・・・」
○弐号機・エントリープラグ
肩を震わせて俯いているアスカ。
彼女を照らしていた明かりが、無情にも消えていく。
○ネルフ本部・発令所
司令室がせりあがり、碇と冬月が姿を現す。    冬月: 「使徒の侵入を許したのだな」
リツコ: 「申し訳ありません。責任は全て私に・・・・・・」
碇: 「大失態だな、赤城博士。ネルフにおける全ての職務から君を解任する」
一瞬、我が耳を疑うリツコ。
碇: 「直ちにここから出て行きたまえ。(一同に)これより私が直接、指揮を取る。葛城3佐。初号機のパイロットを至急、スタンバイさせろ」
ミサト:「はい」
碇: 「αーエヴァを起動開始」
伊吹: 「了解」
慌しく動き出す中央作戦司令室のスタッフたち。
誰もリツコの方を見ようとしない。
碇: 「何をしている赤木博士。ここは関係者以外、立ち入り禁止のはずだ」
リツコ、踵を返して、去って行く。
○同・ケイジ
起動するαーエヴァの描写。
搭載されるダミープラグ。

○同・医務室
内線の受話器を持ち、呆然とした様子のシンジ。

シンジ: 「(声にはならない声で)カヲル君が・・・・・・使徒・・・・・・!?」
ミサトの声: 『もしもし、シンジ君、聞こえる?』
シンジ: 「(絶叫)嘘だッ! そんなの嘘だ!!」
○ネルフ本部・セントラルドグマ
を下降していくカヲル。
そこはまるで、巨大なさかさまの木のような形をしている。
カヲル、とある扉の前で何かの気配を感じる。
○同・一室
カヲルが入って来る。
割れた試験管やビーカーの散乱する室内。
すでに破壊され、放置されたままの施設である。
壁には人類補完委員会のシンボル、7つ目のマーク。
ビーカーに当たった光が虹を生む。

レイ: 「——誰?」
物陰から姿を現したのはレイである。
カヲル: 「君か・・・・・・。どうしてこんな所に?」
レイ: 「ここは私の生まれ育った場所だもの」
カヲル: 「ふうん。握手した時から思っていたけど。君はリリンではないって」
レイ: 「リリン?」
カヲル: 「人間のことさ」
レイ: 「あなたは使徒だったのね」
カヲル: 「使徒!?(おかしそうに笑い)僕は神様の使いなんかじゃないよ」
レイ: 「あなた自身がリリンじゃないと気づいたのはいつ?」
カヲル: 「十になった時からかな。この街にやってきて、初めて自分の宿命というものがわかった。僕が求めているのはコレだったんだ」
、7つ目のシンボルマークを指す。
カヲル: 「実物は、この近くにあるよね。案内してほしいな」
レイ: 「それは駄目。サードインパクトが起こってしまう」
カヲル: 「(些か信じられず)あのセカンドインパクトのような大惨事が起こるの?」
レイ: 「そうよ」
その時、グォオオン! グォオオン! と大音響が連続する。
カヲル: 「エヴァが追ってきた」
レイ: 「(その音を聞いて)初号機でも弐号機でもないわ」
○同・セントラルドグマ
一室から出てくる使徒とレイ。
暗闇の奥からαーエヴァが現れる。
αーエヴァ、使徒を確認すると、獲物を見つけた猛獣のように襲いかかる。
使徒、レイの手を引いて、逃げる。
猪突猛進のαーエヴァ、かろやかにそれをかわす使徒。
まるで五条橋の義経と弁慶だ。
αーエヴァが激突した壁が崩れ落ちる。
濛々たる煙の向こう側に十字架にかけられた7つ目の巨大の上半身が見える。

レイ: 「アダム・・・・・・」
カヲル: 「アダム!?」
その隙を衝かれて、使徒とレイは袋小路に追い詰められてしまう。
凶暴さを丸だしにして二人諸共喰いつこうとするαーエヴァ。
万事休す!
その時、シューターに乗って、初号機が現れる。
初号機、プログナイフでαーエヴァを串刺しにし、支柱に突き立てる。
悲惨なαーエヴァの断末魔。
○初号機・エントリープラグ
スクリーンに映るレイを確認するシンジ。

シンジ: 「綾波、無事?」
レイ: 『ええ』
○セントラルドグマ
いつのまにか使徒はアダムを見下ろす手摺りのところまで来ている。
使徒、アダムを見つめたまま、動かない。
スピーカーから碇の声が聞こえて来る。
碇: 『使徒よ。何故それ以上、進もうとしない』
カヲル: 「碇司令ですね」
碇: 『そうだ』
カヲル: 「ここはあなたにとっての『ありし人の教会』なんですね」
○発令所

碇: 「何故、君はアダムに触れようとはしない。人類に対する同情、哀れみかね」
カヲル: 『いたわりですよ。僕自身に対するね。生き続けることは、つらいことだから』
碇: 「死を選ぶのか?」
○セントラルドグマ
カヲル: 「死は僕に与えられた、唯一の自由意志。造物主の命に逆らえる、唯一の手段なんですよ」
碇: 『それが生命の原則に反していてもか』
カヲル: 「生命とは絶えず変化していくものです、形を定めるものではありません。死もまた生の一部に外ならないから」
初号機からシンジの声が聞こえて来る。
シンジ: 『カヲル君・・・・・・』
カヲル: 「シンジ君。こんな結末になるとわかってたのなら、あの時、一緒に海に沈めばよかった」
○初号機・エントリープラグ
シンジ: 「君は僕を騙していたの? 利用しただけなの?」
カヲル: 『それは違うよ。君と過ごした数日間、とても楽しかった。僕の命を絶つことができるのは君だけだ。君の手にかかって、死ぬなら、こんな幸福なことはない』
シンジ: 「(泣きじゃくり)そんなことできるわけないじゃないか!」
○セントラルドグマ
カヲル: 「早く。体の中で、何かが僕を突き動かそうとしているのがわかるんだ。それは僕の本能なんだと思う。今の僕は、あの時の君のように、自分で自分がわからないんだ」

○初号機・エントリープラグ
シンジ: 「・・・・・・」
カヲル: 「早く!」
○セントラルドグマ
カヲル、いきなり身を翻したかと思うと、パッと跳躍し、アダムに向かってダイビングしていく。
レイ: 「碇君!」
○初号機・エントリープラグ
シンジ: 「——!」
○セントラルドグマ
初号機の腕が伸びて、アダムに接触する寸前にガッと使徒を掴む。
ぶちゅ。
という音とともに僅かに顔をしかめるレイ。
初号機の掌の中から血が溢れ、滴り落ちている。
やがて、シンジの絶叫が巨大な空間に響き渡る。

(Fade Out)
○ケイジ(時間経過)
冷却液に浸かっている初号機。
流しがある一角で放心したように手を洗っているシンジ。
ミサトが来る。
ミサト: 「シンジ君・・・・・・」
シンジ: 「(振り向きもせず)血の臭いが取れないんだ。それに、潰した時の感触も・・・・・・」
ミサト: 「シンジ君は、彼にあこがれていたのね」
シンジ: 「彼は、ぼくにないものをみんな持ってた。生き残るなら彼の方だ」
ミサト: 「それは違うわ。生き残るのは、生きたいという意志をもつものだけよ」
シンジ、無言のまま、ひたすら手を洗っている。
○更衣室
一人、佇んでいるアスカ。
何度も殴りつけたのか、目の前のロッカーの蓋はボコボコにへこんでいる。

アスカ: 「——」
○通路
更衣室からガンガンと、アスカがロッカーを叩く音が聞こえてくる。
目眩をおこしたのか、つらそうな様子で壁に凭れているレイ。
ついには床に伏せてしまう。
○リツコの研究室
一人、じっと何かを考えている様子のリツコ。
ノックもなしに数人の警務部の男が入ってくる。
男A: 「(令状を出し)赤木リツコ。君を逮捕する。容疑の詳細は博士自身が一番ご存知のはずだが、読み上げましょうか?」
リツコ: 「いえ、結構よ。時間の無駄でしょ」
リツコ、連行されて行く。

○どこか(人類補完委員会)
委員会のメンバーが集まっている。
キール: 「たった今、シナリオに記されていた最後の使徒の殲滅が確認された。これにより人類補完計画に対する障害はなくなったのだ」
委員A: 「だが、新たなる問題が浮上しつつある。碇ゲンドウと初号機だ」
委員B: 「ネルフも今となっては無用の長物」
委員C: 「奴は総司令の地位を利用してネルフを私物化した」
委員D: 「碇が初号着を”神”にしてそれを占有しようとたくらんでいることは、これまでの調査によっても明らかだ」
キール: 「私はゼーレの首長として、ここでネルフの解体を決議したいと思う」
○ネルフ本部・総司令公務室
何事か密議している碇と冬月

(Fade Out)